STORY 02

幼い日に受け取った感動が、
今の自分をつくっている

俳優

長澤まさみ

i-img1200x1200-1782183534157ohnfx4 1.png

第5回「東宝シンデレラ」オーディションのグランプリを12歳で受賞し、華々しいデビューを果たした長澤まさみさん。以来、数々のヒット作で圧倒的な存在感を示し、日本を代表する俳優の一人として第一線を走り続けてきました。その原点には、幼い日にお芝居と出会い、心を奪われた「瞬間」があったといいます。

20代の葛藤、それを乗り越えてたどりついた仕事への向き合い方、そして一人の表現者として感じるエンタテインメントの力とは———。

お芝居と出会った、あの瞬間

長澤まさみさんが「東宝シンデレラ」オーディションで史上最年少(当時)グランプリに選ばれたのは、小学6年生のとき。芝居に惹かれる素地は、幼い頃から育まれていた。

「子どもの頃からTVドラマが好きで、お気に入りの作品は毎週欠かさず見ていました。小学生のとき、学校に来た劇団の方たちが目の前でお芝居をしてくれた情景は、今でも鮮やかに覚えています。映像から人が飛び出すように見える演出があり、『どういう仕掛けなんだろう?』と、好奇心いっぱいで見入っていましたね」

とはいえ、照れ屋でシャイな性格で、恥ずかしさから母の背中に隠れるような人見知りな一面もあった。

「表現することに強い興味があり、やってみたい気持ちもあった。でも、自分にできるかどうか自信がない……。そんな両極端な気持ちを抱えている子どもでした」

「イメージできる」から、挑戦できた

長澤さんの俳優人生を貫くのは、「イメージできたことは、きっとできる」という一途な信念だ。

「私は、思い描いた理想や自分像に向かって進んでいくタイプなんです。初めての舞台も『そこに立っている自分』がイメージできたからこそ、挑戦できました。『できる』とイメージできたらやってみる。その積み重ねが、私の俳優人生をつくってきたのだと思います」

華々しい活躍の一方で、20代の頃には深い葛藤も経験した。

「ありがたいことに仕事には恵まれたのですが、自分がこうありたいと思い描く理想と、今の自分の実力、そして目の前の選ぶべき道、それらがうまく噛み合わず、もどかしさを抱えていました」

そんなとき、心の支えとなったのは母の言葉だった。

「『一生懸命頑張ったら、仕事は裏切らないから』。その言葉を聞いて、できるまでやり続けようと、気持ちが吹っ切れたんです。おかげで、つらい時期をくぐり抜けることができました」

誠意が、運を育てる

悩み抜いた時間は、俳優としてのブレない軸に変わった。先輩俳優の「俳優の8割は運」という言葉に共感しつつも、「運は自分自身で育てるもの」と語る。

「どれだけ誠意をもって目の前の仕事に向き合えるかだと思うんです。一緒に作品をつくる仲間に対しても誠実でいることで、運の大きさや人とのつながりが、いい方向へと変わっていく気がしています」

一つひとつの作品を、誰よりも誠実に向き合う印象を受ける長澤さん。その姿勢について尋ねると、返ってきたのは意外な言葉だった。「ただただ必死なだけ、というのが本音なんです」。さらりと口にした一言に、ストイックな覚悟がにじむ。

映画や舞台の現場は、いわばチーム戦だ。監督、俳優、スタッフ、多様なプロフェッショナルが集い、それぞれの専門性を持ち寄って一つの作品をつくり上げる。それこそが「総合芸術の素晴らしいところ」と語るが、俳優という職業を「誰かとの勝負」とは捉えていない。

「私にとってのゴールは、観てくださる皆さんに喜ばれ、長く愛される唯一無二の作品を届けることなんです」

エンタメは人生のエネルギー

では、長澤さんにとって、エンタテインメントとは何なのだろう。

「作品と出会うたび、自分のなかの引き出しが一つ増えて、その深さが変わっていく感覚があります。それに映画は、例えば『まるであの映画みたい』と、タイトル一つで誰かと情景や心境を共有できる"言語"にもなりますよね。作品一つひとつが、豊かな文化なのだと思います」

幼い日に受け取った感動が、今の自分をつくっている。だからこそ、同じ感動を次の世代へ手渡したいと語る。

「人生は、いかに自分自身を楽しませられるか──。そのエネルギーやインスピレーションを与えてくれるのが、エンタメの一番の力ではないでしょうか。一人の俳優として、私が受け取ってきたこの力を、これからもあらゆる世代の人々に届けていきたいと思っています」

俳優 長澤まさみ

1987年、静岡県生まれ。2000年、第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリ受賞。同年、映画『クロスファイア』で俳優デビューを果たす。初主演映画『ロボコン』で第27回日本アカデミー賞新人俳優賞、『世界の中心で、愛をさけぶ』で第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。以降も『コンフィデンスマンJP プリンセス編』『MOTHER マザー』において第63回ブルーリボン賞で史上初となる2年連続の主演女優賞を受賞するなど、映画・ドラマ・舞台の第一線で活躍を続けている。

記事をシェアする

インタビューの全文は、
公式オウンドメディアで公開中!